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カリフォルニアに車で行くこと
幼いころに見た「祖父と車でカリフォルニアまで走る」という夢が、宿命のようについて回る……祖父の一周忌で、僕は再びその宿命を思い出す(「カリフォルニアに車で行くこと」)。
若手チェリストの薫がクラシックコンサートを成功させた翌日、親友の奈々美が事故で死んだ。小説家志望だった彼女が残した最後の交換日記を読み、薫は表現するという営みについて思いを巡らせる(「長谷川奈々美の遺言」)。
大切な人の死を扱った2作を収録した、作者初の短編集。
単語帳と狐のしっぽ
学校は嫌い。昼休みに誰かとつるんでお弁当を食べなければならないから。でも、ベランダは好き。君とおしゃべりできるから。ロックベーシストと優等生、二人の女子高生のひみつのお話。
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さようならイーハトーヴ
もし、ジョバンニとカムパネルラが恋人同士だったら…… 幼馴染であり恋人である僕と絵理子は、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を読んで育ち、生きる”世界”を共有してきた。「イーハトーヴ」=理想郷なるもの。賢治の描いたイーハトーヴとは何だったのか。僕たちの生きる”世界”にイーハトーヴは存在しうるのだろうか。僕にとって、絵理子にとってのイーハトーヴを探して、僕たちは旅に出る。
私の眠る図書館、自転車で走る僕
仕事を休みがちな私は、最近、大学時代に居場所にしていた”はずの”図書館の夢を見ている。そんなある日、私は差出人のわからない手紙を受け取るようになるのだった。それは、自転車で海まで走る青年の物語。青年の正体は誰なのか。そして夢の図書館はどこにあるのか。純文学作家が描く、幻想的な中編小説。
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西瓜の名産地
大学の演劇サークルに所属する僕は、先輩であり親しい友人である落窪さんが、自ら脚本・演出を手掛ける卒業公演に出演する。落窪さんが夢に着想を得て書いたというその芝居は、「死んだ妹の首と称して、銀の盆に載せた西瓜を愛でている先輩」と「先輩の姿に動揺しながらある秘密を抱える後輩」による会話劇だった。先輩役を演じるのは僕、後輩役を演じるのは落窪さんだという。僕はこの奇妙な脚本を解釈すべく、思考実験を繰り返す――。